明子

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僕は「罪と罰」を読んでいた 病院のホールでは、何をやっても自由だ ウォークマンを聴いてる人もいる 「何読んでるの?」 また笑顔で明子が僕を覗き込む この子がうつ病だなんて信じられない 底抜けに明るい笑顔だ ちなみに18歳 僕とは4歳年下ということになる 「難しい本を読んでるんだね」 明子が僕が読んでるのが「罪と罰」であることに気づいた 「明子ちゃんも本は読むの?」 「読むよ。中学生の頃まで、ハリーポッターが大好きだった。最後まで読めなかったけど」 「ハリーポッターか…。僕も読んだことがあるけど、あれはちょっと子供には難しいよね?」 「そう?私なんて魔法学校が本当にあると思って、行きたかったな」 「ははは、僕もタイムマシーンは信じてたよ」 僕たちはとりとめもない会話を交わした 明子ちゃんも大学には受かったけど、病気で行けなくなったのだ
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