聖戦への幕開け

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数時間前…… 「聖奈様! たった今、フィーネが記憶喪失で街に出ているとの情報が届きました。」 そう言ってきたのはレンだった。 今日も闘技場でマゴスたちの相手をしていた聖奈は手を止めた。 「フィーネが記憶喪失? 確か、あなたの情報では気絶したフィーネをフィナーレが預かっていたはずだよね? 目を覚ましたってこと?」 「はい。 裏屋の2人に監視させていたのですが、どうやら記憶を失って街の方へと行ってしまったようです。」 「行ってくる。」 (みんな、行くよ!) 聖奈は風雷、緋炎、蒼氷にそう言うと、すぐさま出口へと走っていった。 モンスター専用の出口から出て、モンスター3体には森の方に隠れてもらう。 フィーネの痕跡をたどったその先にはフィナーレがいた。 「フィナーレ!」 こっちに気づいたフィナーレが言う。 「聖奈か。 フィーネの記憶喪失を狙ってきたのか? 悪いが妹に手出しはさせない。 俺が先に見つけるからな。」 「勝負ね!」 聖奈はそう言い放つと、街に向かって走って行った。 「まあ、居場所はさっきネロから情報が入ったんだけどな。」 聖奈がフィーネを見つけた時、フィーネはイニーツィオと共にいた。 服装がいつもと違う。 おそらく、イニーツィオからの贈り物だろう。 聖奈は気配を殺して様子を見た。 しばらくすると、フィーネは嬉しそうに街の方へと行った。 残ったイニーツィオがこちらを見る。 「危うく気がつかないところでしたよ。」 どうやら気づいていたらしい。 「バレてたの? さすがはイニーツィオね。 フィーネにはバレてなかったみたいだけど。 それで、やっぱり娘の味方ってわけ? 新しい武器なんて与えてさ。」 「公平にしただけです。 あなたが修行して本来の力を取り戻している間にあの子は寝ていたのですから、新しい武器くらいあげなくては。 あなたは力を取り戻せばそれなりの力になりますが、フィーネ自身は修行してもこれ以上の力にはなりません。 どちらか一方が圧倒的な力を持つのではなく、2人合わせた力が強くなればなるほど私の目的は果たせるのですよ。」
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