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そう思った時には遅かった。
聖奈の体は後ろ向きに倒れ、そのまま塀の外に落ちてしまった。
聖奈の通っている高校は保健室が4階にある。
そのため、聖奈の体は4階からまっさかさまに落ちてしまうことになる。
聖奈の体はどんどん落ちていく。
私はきっと死ぬんだ……
落ちるのは一瞬のはずなのに、この時の聖奈には時が止まったかのように感じた。
その瞬間、聖奈はふと風雷の言葉を思い出した。
私は風と雷を操れる……
今、風を操る事ができればきっと助かるだろう。
しかし、当然のことだが、聖奈には風を操った経験なんてない。
でも、何もしないで落ちて死ぬのは嫌だ!
聖奈はそう決めると、目を閉じて風の流れを感じ、集中する。
すると、次の瞬間、聖奈の体の動きがぴたりと止まった。
聖奈は目を開き、ゆっくりと下を見てみた。
聖奈の体は地上から2mくらいの所で止まっている。
「私は、風を操っている……」
聖奈はそのまま風を操って地上に降りた。
助かった喜びと同時に聖奈はあることに気づいた。
上履きをはいたままだ。
急いで校舎に入らないと怪しまれてしまう。
それに、保健室に戻らないと、誰かが聖奈がいなくなっている事に気づいてしまう。
そうなると説明するのが厄介だ。
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