覚醒

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時すでに遅しだった。 ちょうど聖奈が地面に降り立った頃に、保健の先生は保健室にもどってきてしまった。 「えっ?」 先生は聖奈がいないことにすぐに気づいた。 「まさか、勝手に教室に戻ってしまったとか?」 そう思った時、先生はベランダのドアが開いていることに気づいた。 「まさか!!」 先生の顔がまっ青になった。 先生はゆっくりとベランダに出ると、おそるおそる下をのぞいて見た。 最悪の結果がそこにあると思っていた先生は驚いた。 そこには聖奈が立っていたのだ。 「どうして?……」 聖奈は誰かの目線を感じて上を見上げた。 そこには保健の先生が口をあんぐりとあけて見ていた。 どうしよう……とりあえず、校舎に入った方がいいのかな? 聖奈はそう思って校舎の中に入っていった。 ベランダで聖奈を見ていた先生も急いで下に降りていく。 予想通り、先生は聖奈にいろいろ質問してきた。 「聖奈さん大丈夫? ケガとかしてない? ビックリしたわ、一体どうやって下に降りたの?」 「…………」 どうしよう……正直に言ったところで信じてくれるはずかない。 よし…… 「あの……よく覚えていないんです。 頭がぼうっとしていて、気がついたら下で立っていたんです。」 こんな事を言っても信じてくれないだろう。 そう思っていたが、先生はあっさりこの話を信じてくれた。 「そうなの? それにしても、どうやって降りたのかしらね……」 またきかれては困るので、聖奈はとっさに話を変えた。 「あの、もう元気になったので教室に戻ってもいいですか?」 「そうね。 でも具合が悪くなったらいつでもおいでね。」 「はい。」
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