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さっきまで私の20mくらい前で雷をよけていたのに…… 聖奈から力が抜けていく。 フィナーレは聖奈から剣を抜き取った。 ものすごい量の血が溢れてくる。 風による支えを失った聖奈の体は落ちていく。 フィナーレはさっきのような速さで落ちていく聖奈の体を受け止め、ゆっくりと地面に降り立った。 そして、近くの木の下にもたれかかるようにして聖奈を座らせた。 なぜか、その手つきは優しかった。 「どう……して…」 聖奈は最後の力を振り絞って言った。 「どうして……私を……殺す…の? どう……して……落ちていく私を………助けたの?」 フィナーレは聖奈を黙って見下ろしていたが、やがて聖奈の隣に座った。 「殺したかったのはお前じゃない。 ベスティアだ。 でも、ベスティアはお前の中にいる。 だからベスティアを殺すにはお前を殺すしかない……」 そうして話しているフィナーレはなんだか辛そうに見えた。 「お前は何も悪くない。 だから落下して地面に叩きつけられて見るも無残な姿になるのを見るのは嫌だっただけだ。 それに、なるべく美しく殺すのが俺のやり方だ。」 ベスティアが私の中にいる? どういう事? しかもそのせいで私は殺されたの? 聖奈はそんな事を考えながらフィナーレの話を聞いていた。 そして、フィナーレの話を聞いているうちにある事に気づいた。 傷が治ってきている…… 先ほど、確かにフィナーレによって貫かれた心臓の痛みが少しずつだか間違いなく和らいできている。 どういう事? 「やっぱりな……」 フィナーレが急に立ち上がった。 「俺がミスするはずないからおかしいと思ったんだ。 まさか、マゴスの回復力が俺達と同じくらい高いとは…… 普通なら、あの攻撃で一瞬で楽に終われたはずだ。 残念だったな。 マゴスの回復力も分かったことだし、今度こそ楽にしてやるよ!」 そう言って、フィナーレは剣を振り上げた。 今度こそ殺される!! 聖奈は目をつぶって覚悟した。
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