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ところが……
あれ?
来るはずの痛みが無い。
恐る恐る目を開けてみると、なぜか剣が消え、フィナーレが目の前でうずくまっていた。
明らかに様子がおかしい。
片膝と片手を付いて苦しそうにしている。
握っていた剣はいつの間にか消えている。
何が起こったのだろうか?
「くそ!
こんな時に……」
聖奈は何が起こったのかわけも分からず、今がチャンスだろうから反撃するか逃げるべきなのに、ただその場にいた。
いや、なぜだか放っておけなかった。
ついさっきまで自分を殺そうとしていた相手なのに、悪い人ではない気がして、助けてあげたい気がして……
気づいたら、フィナーレの横で膝をついて座っていた。
「ねぇ、どうしたの?!
大丈夫?!」
何やってるんだろう…私。
私だってケガしてるのに……
「お前……なぜ…………くっ!
………」
先ほどよりも苦しそうにする。
聖奈はどうする事も出来ない。
でも、放っておけない。
「ねぇ、何が起きてるの?!
私にできる事は無いの?」
フィナーレはとうとう横に倒れこんでしまった。
あまりの痛みに、フィナーレの指が土に食い込んでいる。
そして……次の瞬間!!
バサッ!!!!!!!!
大きな音を立ててフィナーレの背中から漆黒の大きな翼が生えてきた。
「うああああああ!!!!!!!!」
そのあまりの痛みにフィナーレは叫んだ。
周りにフィナーレの血が飛び散る。
聖奈にも降りかかる。
そのあまりの光景に聖奈はただ見ているしかなかった。
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