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フィナーレの翼は、血がついているものの、とても美しく綺麗な漆黒の翼だった。
フィナーレはまだ苦しそうにしているが、必死に立ち上がろうとしていた。
ふらつきながらもなんとか立ち上がり、さっきまで聖奈とフィナーレがもたれかかっていた木に倒れかかる。
しかし、踏ん張りが効かず、崩れ込んでしまった。
そこでようやく聖奈はフィナーレにかけより、さっきフィナーレが聖奈にしてくれたように、木の下にもたれかかるようにしてフィナーレを座らせた。
「大丈夫……じゃないよね……」
そう言いながら、フィナーレの翼を見る。
生物学的に人に翼が生えるなんてありえない。
でも確かに漆黒の鳥の翼がフィナーレの背中からしっかりと生えている。
半神だからなんだろうか……
聖奈がそんな事を考えていると、まだ少し苦しそうだが、フィナーレが言った。
「お前……何のつもりだ?
俺は敵だぞ?
こんなチャンスには反撃するか逃げるのが普通だろう?
ましてや、一度殺されかけてんのに……」
フィナーレの言う通りだ。
それは自分でも分かってる。
でも……
「放っておけなかったの……ただそれだけ……」
「今この瞬間、お前を殺すかもしれないのに?」
「でも、あなたは私を殺してない。」
「……………………」
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