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夜風を翼に感じながら空を飛ぶのは気持ちいい。
まだ痛みは残っているものの、翼は正常に羽ばたけるくらいにはなった。
それにしても、今夜は予想外の事が多かったな……
そんな事を考えながら降下して行き、最近住処にしているこの街で一番大きな木へ向かった。
地上から約10mくらいのところにフィナーレの能力で作ったツリーハウスがある。
木を操ってツリーハウスにしたものだ。
ちなみに、梯子は無い。
フィナーレはいつものように窓から入ってベットに座った。
この部屋にはベットとテーブルと食器、そして全身を写せる鏡がある。
どれもフィナーレが作った物だ。
フィナーレは火の玉を作って部屋の中心に浮かべた。
翼を広げ、鏡を見る。
変身術を解き、元の姿に戻る。
漆黒の髪に銀色の瞳、漆黒の翼。
「黒のフィナーレ……か。
まるで堕天使だな。」
そう言って苦笑する。
もちろん、フィナーレは天使でも堕天使でもない。
正真正銘の半神。
取り敢えず、発作のせいであいつが拭いてくれた顔以外は血だらけだし、洗った方がいいな。
フィナーレはそう思うと窓から飛び出し、川へ向かった。
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