16人が本棚に入れています
本棚に追加
/107ページ
フィナーレは弓を消し、川から上がった。
すると、さっきまで水を浴びていたのが嘘のように一瞬で体が乾いた。
血も綺麗に洗い流されている。
痛みも、もう無いようだ。
「私は帰り道が分からなかったから川をたどっていただけだよ。
ねぇ、その姿は本当のフィナーレの姿なの?」
「そうだけど?
別にどうでもいいだろ、そんな事。」
「かっこいいなって思っただけ。」
「そう言ってくれる人も久しぶりだ……………………。
いや、何でも無い。
それより、帰りたければ飛べばいいじゃないか。
どうして歩いてんだよ。
時間かかるぞ!
言っとくけどな、お前が今ここにいるって事は20分も街とは反対方向に歩いてたって事だぞ?!
どんだけ方向音痴なんだよ!
でもまぁ、確かにこの川をたどれば帰れるけどな。」
「方向音痴で悪かったね!!」
でも、これで家に帰れる事が分かったし、良かった!
そう安心した時、川下の方から声が聞こえた。
「聖奈さーん!」
まだ声はかなり遠いが、レンの声に間違い無い。
「良かったな、探しに来てくれたみたいだ。
俺はめんどくさいのは嫌いだから、じゃあな。」
フィナーレはさっきとは違って1回羽ばたいた瞬間。
あっという間に飛び去った。
バサッ!!
闇夜の空を飛ぶその姿はとてもカッコ良かった。
最初のコメントを投稿しよう!