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「先手必勝だ!!」
レオンはフィーネに向かって走って来た。
「せっかちですね♪」
フィーネはそう言うと、聖奈のそばから3歩ほど離れた。
「ビアンカ♪
聖奈さんを見張っていてもらえますか?」
フィーネがそう言った次の瞬間、どこからともなく大きな白いオオカミが現れた。
オオカミは聖奈をじっと見つめた後、フィーネを見た。
(フィーネ様。
今回のお遊びはほどほどに。)
(分かってます♪)
フィーネはビアンカとテレパシーで会話した後、走って来たレオンの剣を無駄のない自然な動作で避けた。
「聖奈を返せ!」
レオンは間を開けることなく次々と剣をフィーネに振り下ろす。
「聖奈さんを返すわけにはいきません♪」
フィーネは次々と繰り出されるレオンの剣を軽々と避けながら答える。
さらに次の瞬間には、なんとレオンの両手剣の上に器用に乗っているではないか。
「武器を使う必要もありませんね♪」
フィーネはニコッと笑って楽しそうにそう言うと、そこから後ろに宙返りした。
「てめぇ、ちょこまかと避けやがって!」
レオンが悪態をつく。
一方、聖奈はどうしようか迷っていた。
逃げるべきか、ここで見ているべきか……
逃げるとしたら、この大きな白いオオカミを倒さなければならない。
そして、セラは何の考えも持たずに相手に突進していったレオンに呆れていた。
「いつもは冷静で頭の回転も早いのに、どうして戦いの事になるとこうなるのかしら……」
セラは取り敢えずレオンはほっといて、聖奈を助ける事にした。
風を操ろうと思い、集中する。
ところが……
風が、言うことを聞かない……
気を取り直して、火を出そうとしてみるが、これも上手くいかない。
何故か、セラの能力が全く使えなくなってしまっていた。
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