イニーツィオからの使者

9/16
前へ
/107ページ
次へ
「はっくしゅん!」 リヤンは湖から這いずり出てくるなり、くしゃみをした。 全身がびしょ濡れになっている。 「フィーネ様あんまりですよぉ!」 と言って周りを見渡すと、気絶しているレオンとなぎ倒された木々の先で気絶しているセラがいた。 そして、なぜだか見知らぬフリフリのメイド服の女の子がリヤンの方を見て驚いた様子で立っている。 あれ? リヤンとシフォンの目が合う。 「あなた誰ぇ!?」 リヤンはずぶ濡れのままシフォンを指さして言った。 「聞きたいのはこっちですよ!! どうしてそんなところから出てくるんですか?!」 シフォンもリヤンを指さす。 「私はフィーネ様の一番弟子リヤン! って、そんなこと言ってる場合じゃない! 早く木を元に戻して、フィーネ様に追いつかないと!」 リヤンはそう言うなり、猛スピードで木々を元に戻し始めた。 シフォンはあっけにとられている。 「って、無視しないでください!」 シフォンはナイフをリヤンの顔面スレスレに投げた。 ドンッ!! ナイフは見事に木に突き刺さる。 「邪魔しないでよ!」 リヤンが怒ってシフォンのことを見る。 「私は早くフィーネ様を追いかけなきゃいけないの! メイドの相手をしている場合じゃないの!」 「私はメイドではなく、セラ様のサポーターです! それに、私だって本音は聖奈様とレンくんを追いかけたいんです! 私を連れてって下さい!!」
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加