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「リヤン、私は先を急いでいるんですよ?
めんどくさいので、あなたも一緒に片付けますね♪」
フィーネがニコッと笑う。
次の瞬間、湖の方向から大量の水が流れ込んで来た。
よく見るとただの水ではなく、水龍だった。
しかも、既に口を大きく開けている。
聖奈がさっき見た水龍とは比べ物にならないほど大きい。
それを見たきじねこ、菊華、リヤンは慌てて逃げようと走り出すが……
ザバーンッ!!
逃げ切れるわけも無く、あっさりと飲み込まれてしまった。
「フィーネ……ゴボボ……さ……ぶはっ!」
リヤンが空気を求めてもがく。
対して、きじねこと菊華は用意が良く、小型の酸素ボンベを口に加えていた。
フィーネは水を操り、リヤンだけ水龍の口から吐き出させた。
「ぐはっ!!
フィーネ様!!
私を殺すつもりですか?!」
「邪魔だったので巻き込んだだけですよ♪
ほら、ちゃんと吐き出したじゃないですか♪」
それを見た聖奈とレンが顔を合わせる。
「やっぱり、どう見ても師弟関係じゃないよね?」
「あれは、完全に一方通行ですね。」
そして、2人揃ってリヤンに小さく合掌。
完全に水龍の餌食になっているきじねこと菊華は酸素ボンベが切れる前になんとか脱出しようと試みるが、泳いでも泳いでも端に辿り着けない。
どうやら、中は水の流れが急らしい。
「その酸素ボンベはもって10分と言ったところでしょうか?
5分もあれば私が逃げるには十分すぎますから、5分後に解除しますね♪」
フィーネはそう言うと、ゲホゲホと咳き込んでいるリヤンを置いて、先へ進み始めた。
ビアンカはフィーネについて行く。
レンもチラリと3人を見てから、フィーネの後を追った。
「目的地まで後少しです♪」
フィーネの楽しそうな声が夜の森に響き渡った。
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