イニーツィオとベスティア

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「えっ……」 レンは思わず硬直してしまった。 なぜなら、いきなり目の前でフィナーレがフィーネにキスをしたのだ。 しかも、口付けで…… レンの心情を知ってるのか知らないのか、フィナーレは周りの事など気にせずに、今度はフィーネを抱きかかえた。 そう、お姫様抱っこで…… そして、ようやくレンの存在を気にしたのか、話しかけてきた。 「レンだったな。 以前はお前の姿を借りたこともあったか。 ここはひとまず見逃してやる。 フィーネは俺が預かるぞ。 ビアンカもそれでいいな。」 フィナーレはそう言うなり、翼をバサリと開き、一気にフィーネを抱きかかえたまま空へと飛び去って行った。 ビアンカとネロも背中から翼を出し、フィナーレを追って飛び去って行った。 その直後。 「フィーネ様~!!」 声のする方を見ると、リヤンが猛ダッシュでこっちに向かって走って来ている。 「ハァーハァー……」 リヤンは息切れ切れにレンの元へ来ると、キョロキョロと周りを見た。 「あれ? フィーネ様はどこぉ?」 「フィーネなら、フィナーレにお姫様抱っこされて行きましたよ。」 「えっ!! お、お姫様抱っこ?! フィナーレ様ずるいです! どっちどっちぃ~!」 「えっと……」 レンは少し迷ってから、フィーネを敵に回したくないと思い、実際とは逆方向を指差した。 そうとも知らず、リヤンはお礼を言うなり猛ダッシュで走って行った。
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