イニーツィオとベスティア

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「楽しそうな晩餐会ではないか。 イニーツィオよ、我ら3人を呼んでくれないとは寂しいではないか。」 突然、空から声が聞こえてきた。 「ベスティアとこそこそと何を話していたのかね?」 「どうせ、我ら3人の事であろう?」 3人の声が続けて聞こえる。 「全く、いつもの事ながら息の合った3兄弟です。 長男の空神、次男の海神、三男の地神。 私たち姉妹の晩餐の邪魔をしないで欲しいものですね。」 イニーツィオがそう言うと、目の前に3人の男が現れた。 「我ら3人の思惑はお見通しと見える。 では、ここに我らがいるという事がどういう事か分かるであろう?」 「私を殺しにでもきたのですか? ベスティアが私の戦力となる前に。」 「よく分かっているではないか。 イニーツィオの時代は終わったのだ。 これからは我ら3人が自然を支配し、人間どもに自然の恐ろしさを思い知らせてやる。 自然を人間の思い通りに破壊させてたまるものか。」 3人は同時に不敵な笑みを浮かべた。 「私とあなた達が同時に同じ自然を操れば、自然は私に従いますよ。 あなた達に勝ち目はありません。」 「我らに勝ち目が無いと思うかね? 確かに空も海も地もイニーツィオの物だ。 言わば、イニーツィオは社長で我らは部長、自然は部下と言うようなものだ。 部下は部長よりも社長の指示に従うだろう。 だが、社長が命じたのとは違う部下に命じればいいとは思わんかね?」 「まだまだ考えが甘いですね。 そんなんでは、私の唯一の娘であるフィーネに負ける日も遠くないですね。」 イニーツィオは落ち着いた声でそう言った。
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