16人が本棚に入れています
本棚に追加
フィナーレがツリーハウスに帰ってきた時、フィーネの姿はどこにも無かった。
「フィーネ!」
どこ行ったんだ……
いくらフィーネでも俺に助けられたことは分かるだろうし、礼も言わずに出て行くなんて事はしないはずだ。
少なくとも、昔のか弱い妹なら……
少し考えてから、もしかすると今のフィーネなら黙って出て行くかもしれないと思い直す。
フィーネは俺よりも強い。
神に殺されない限り死ぬ事は無い。
俺が心配する事も無いか……
一応、今の俺たちは敵同士だしな……
「ネロ、フィーネはどこへ行った。
監視させてたはずだ。」
(フィーネ様は町の方へ向かった。)
「どうして止めなかった。」
(ビアンカに止められた。)
「って事はやっぱり逃げたのか。」
(ビアンカに聞いたが、どうやらフィーネは記憶喪失らしい。
自分が自然の女神イニーツィオの娘だという事さえ忘れている。
ビアンカが話しかけても返事が無い。
それどころか、追いかけようとしたビアンカを攻撃した。
魔法は本能的に使えている。
町に着けば、大騒ぎになる。
今、ビアンカが探しに行っている。)
「もっと早く俺にテレパシーしろ!
くそっ!
ネロ、お前も探しに行ってくれ。
見つけ次第、今度こそ俺にテレパシーしてくれ。」
(了解した。)
最初のコメントを投稿しよう!