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「ていうかゆっきーモテそうなのに、なんであたし?」
「さあー、好きなんじゃない?」
あ、奈々美戻るところだったのに引き留めちゃった。
「ないない、だってただの友達だし!」
それはただのこころの思い込みだ!! と内心おもう奈々美の気持ちなど、こころは知らない。
「まー、頑張ってね!」
今度こそ奈々美は教室に戻った。
「席つけよー」
「あれっ!?」
「なんだ、橘?」
「次、科学なの‥‥‥‥?」
教科書‥‥、奈々美に貸しちゃった‥‥。
「‥‥翔輝ぃ」
「んー?」
くるくるとシャーペンを回す翔輝に、ふて腐れた顔で話しかけた。
「なにブッサイクな顔してんだ」
「うるはい」
「へいへい」
「教科書見せて」
「‥‥‥‥はっ?
こころ熱ないか?」
一瞬ぽかんとしたとおもうと、今度は青ざめた表情でおでこをピタッとくっつけた。
「!!??」
ふわふわそうな柔らかい、色素の薄い髪。
ときどき太陽みたいな色をみせる瞳。
通った鼻筋に、形のいい唇。
「‥‥おでこじゃわかんねぇ」って、ちょっと可愛い呟き。
顔から火が出るかとおもった。
翔輝がそんなこと、するとおもわなかったから。
「熱っ! てか、赤っ! 大丈夫かよこころ」
「だだだだ大丈夫!」
翔輝のせいだ!
「熱ないんだな?」
「ないよ!」
「ふー、焦った」
「こっちのセリフなんだけど」
今のは流石に心臓に悪かった。
すごくドキドキした。
あんな間近に翔輝の顔があったんだもん。
思い出すだけでほっぺたが熱くなってくる。
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