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「──じゃあ、ここの問題‥‥‥‥はぁ」
チョークをコンコンと、黒板に軽く叩きつけて教室を見渡した先生が、ため息をついて見つめた先は。
私、‥‥の右隣。
「おい広瀬ぇー。 ‥‥橘、広瀬の頭叩いて起こしてやれ」
「はーい」
先生が呆れながら私に起こすように促した。
「しょーうーきっ」
小声で名前を呼びながらパシンっと頭を叩く乾いた音がした。
「ぃってぇ!! なにすんだよっ、こころだろ」
「前」
翔輝の言葉を無視して、前を指さした。
「前? なに?」
「問題の答えを言えと」
「え、あ。教科書ねえから、こころ見せてー」
「広瀬!寝てた上に教科書がないだと!? はあ」
ため息をつく先生。
そんな先生を無視してマイペースに机をくっつけて教科書を覗きこむ翔輝。
呆れるあたし。
笑うみんな。
もう‥‥。
「あーっと、えーっと。答えは3!」
「違うな。橘、わかるか?」
「4?」
「正解だ。広瀬はまず真面目に授業を聞け」
「1しかかわんねえじゃん、3と4」
「でも違うから仕方ない」
無理やり話を丸めた! と言いながら、あたしのノートに落書きし始めた。
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