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なんだったんだろ……いきなり見つめてくるから。
不覚にも、あの翔輝にドキッとしてしまった。
「こころーっ! ごはん食ーべーよー」
「うん」
凛花と二人で屋上に向かう。
今日は晴れてるから、気持ちいいだろう。
「凛花のお弁当美味しそうだよね、いつも思うけど」
「ママが作ってるよー」
「だろーね。凛花、ドジって失敗してそう」
「そんなぁっ!ヒドイっ! ‥‥そうだけど」
「そうなのかい‥‥」
今日は晴れているからか、さっきから屋上のドアの開閉する音が忙しなく聞こえる。
「一気に入ってこればいいのにねえ」
「ムリ言うなって‥‥、‥‥曇ってきた?」
急に地面が暗くなって。
晴れていた空が曇り始めたのかと思って、ふっと空を見上げたら。
「っ!」
目の前には青でも鉛色でもなく、翔輝の顔だった。
「ふはっ、ブサイクな顔ー」
「あ、ちょっと!」
ブサイクと言われて反抗していたら、素早くあたしのお弁当から卵焼きを奪い、口に放り込んだ。
「あた‥‥」
「りんの卵焼きー!」
「おいっ!」
「りんが食べようと思ったのに!翔輝、ほんとにりんの最大の敵だぁっ」
「余裕で勝てるかなー」
「いやいや、あたしの卵焼きを食べた罪は重いからね」
「げ。やべー」
「おい翔輝!なにしてんだよ」
「あ、わり!」
今行く! と友達のもとへ向かう。
「卵焼き美味かったぜ」
そう呟き行ってしまった。
卵焼き、美味しかったって‥‥。
よかったぁ‥‥。なんか嬉しいな。
‥‥寝ぼけながら作った卵焼きだけど、ね。
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