その先は、

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まったくその通りなので、何も言い返せない俺は背を包む大きな胸にもたれかけた。 痺れたようになった俺の顎を摘まんで、英明はゆるく指を遊ばせる。 爪の軌跡や、腹のかさつきがくすぐったさになる手前の感触で顎の輪郭を辿るのを俺はなされるままぼんやりと眺めた。 そして、それはどんなきっかけだったのか自分にもわからなかったが俺はふいに開いた唇から痛みのちりつく舌先をそっと外に出していた。
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