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「こんにちは。」
と、どこからか可愛い声がしたので辺りを見回してみると、私のななめ前の向かい側に同じ姿をしていて、それでいて私よりも一周り大きくて、花びらなんかも濃く艶やかな色をした女性がいました。
「こんにちは。」
と私が返すと、彼女はひらひらと腕をふってみせて
「今日がお誕生日なのね。おめでとう。」
と笑いかけてくれました。
「ありがとう。あの・・・お名前は?私はサキといいます」
「ユキノっていうの。よろしくね。」
するとそのユキノさんの鼻に、小さなミツバチがとまってユキノさんが小さくくしゃみをしました。彼女は私と目が合うと照れたように身をすくめてみせました。私はそんなユキノさんが好きになりました。
それからユキノさんは私に、いろんなことを教えてくれました。風が吹いたときは両腕を広げるようにすると心地よいとか、お日様の眩しすぎる陽射しに思い切り顔を向けると、花びらがより美しくなることとか、ホタルやミツバチとお友達になる方法とか。夜は静かな星空を見上げるのが大好きになって、星には自分で光を放つものやお日様の光を浴びて光を放つもの、その光が届いてこんなり綺麗な星空を作っているのだということ、大きな星でもここからずっとずっと遠く離れているせいで、目には見えないくらいの光しか届かないものもあるのだと知りました。超新星のこともユキノさんが教えてくれました。それは、月が明るい夜のことです。
「あの星、とっても明るく光っていますね」
そう呟いた私に、月明かりに照らされたユキノさんが静かに教えてくれたのです。
「あれはね、サキちゃん。超新星というの」
「超新星って?」
「星が寿命を終えるときに、あんな風に大きく光ることよ」
それを聞いて私はそうか、と思いました。消えてしまう前にもっと自分を知ってもらいたいのだと、だからあんな風に大きく大きく光るのだと。
「ユキノさん、あの星はさみしかったのでしょうか?」
私が尋ねるとユキノさんは、そうね、とだけ答えて後は何も言わなかったのです。その横顔がとても美しく、見惚れてしまった私は何も言えませんでした。
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