「脅してみる?」

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「ひーとはーっ、一葉ぁーっ!あたしたち、今年も同じクラスになったよーっ」 あの日から3年の時が流れ、あたしは今日から高校2年生。 昇降口の前に貼られてあるクラス分けの表を、一足先に確認した友達の恵梨香(えりか)が、まだノロノロと正門をくぐったばかりのあたしの元へ走ってくる。 ゆるくふわふわに巻かれている長い髪が、走るたびに左右に揺れる。 モデルみたいに綺麗な顔が、太陽の光でもっと輝いて見える。 「えりちゃん、おはよう。本当?」 「おはようっ、遅い!」 “お早う”?“遅い”?どっち? 矛盾したあいさつをもらい、首をかしげていると、 「わっ!」 腕を引かれ、昇降口まで走らされた。 たくさんの人が群がっている、昇降口の前。 えりちゃんは、迷わず2年2組の表を指差し、 「ほらほらっ、今年も同じ!やったねっ!」 “若森一葉”、“浜田恵梨香”の名前が同じクラスの表に載っていた。 ホッと安心する。 クラス内に親友が居るか居ないかは、高校生活に大いに影響を及ぼすものだから。
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