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「えーりーっ、俺も!俺も2組だから!」
背後から聞こえた男子の声に、あたしはびくっと体を震わせる。
えりちゃんと共に振り向くと、そこには綺麗な黒髪に無造作にクセがついた男子。
去年クラスメイトだった椎久亮佑(しいく りょうすけ)くん。
「えぇー……、また亮佑と一緒とか……。うざいんだけど」
「照れない照れない、嬉しいくせに」
えりちゃんと椎久くんは、同じ中学だったらしく、クラスも3年間一緒だったと聞いたことがある。
あたしは、高校に入ってからの友達だから、見てはいないのだけど。
「もー、勝手に言ってなよ。行こ、一葉」
えりちゃんがあたしの背中を押す。
正直助かった。
椎久くんはえりちゃんの友達だし、もちろん悪い人などではないし。
だけど、男子。
先輩と同じように、ゴツゴツした大きな手。
低い声。
高い身長。
先輩と同じところを見つける。それだけのことを、……怖いと思ってしまう。
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