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今度は、先ほど通ったばかりの廊下とは逆方向に足を進める。
こちら側の階段を降りるほうが、職員室に近いから。
なるべく足音を立てないように歩いていると、
「ふふっ……」
突然聞こえた笑い声に、身が震えた。
女の人の声……!?
今通ったばかりの、多目的教室から聞こえた。
電気がついていなくて、真っ暗。
暗くして、授業?
……に、しては、おかしい。
先生の声は聞こえないし、聞こえたのが一度きりのひそむような笑い声だけだなんて。
脳裏に“七不思議”の文字が横切る。
びくびくしながら、声の正体が気になって、そっとドアを開けてみると……
「てか、声でかいよ。誰かに聞かれたらどうすんの」
秘めるように小さい、笑いのまじった話し声。
今度は男子の声。
この、声は……
――『若森一葉ちゃん、俺と付き合わない?』
あたしの記憶のものより、大人びている。
暗がりで見えるのは、金髪。
岡安……冬弥?
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