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一緒にいるのは、もちろん幽霊ではなく、人間の女の人。
校内の人だから、見覚えがある。
2週間前の体育館で、壇上に上がっていた。
水谷優香(みずたに ゆうか)。
この学園に新しく着任した、28歳の英語教師。
あたしの記憶が正しければ、左手の薬指にシルバーの指輪が輝いていたはず。
なに、やってるの。
先輩……。
カーテンまで閉めて、真っ暗にして、ふたりきりで。
……隠れるみたいに。
「岡安くん」
甘い声が、先輩の名前を呼ぶ。
「いい加減、“冬弥”って呼べよ」
「だめよ、癖になって、皆の前で呼んじゃったらどうするの?」
先輩が、水谷先生の腰に腕を回す。
ふたりは、お互いに夢中で、あたしの存在に気付かない。
何でこの人たち、……キスしてるの?
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