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授業が終わり、えりちゃんと一緒に教室へと向かう。
「そんなに教科書見つかんなかったの?あんたのダッシュ、生物室の中からでも聞こえたからー」
えりちゃんが、思い出すように声を出して笑う。
「う、うん、焦っちゃって……」
返事をしながら、あたしの意識は一時間前に見た光景に奪われている。
岡安先輩、結局、卒業式の日に付き合った人とは別れたんだ。
……って、問題はそこじゃない。
相手、先生だったし。
それどころか、人妻だし。
どう見たって、キス……してた。
あんなの、不倫ってことでしょ?
最低。
そういう人だったんだ。
あの時、別れてよかった。
何もしなくてよかった。
あたしたちは、手を繋ぐだけの、子供っぽい付き合い方だけで終わった。
それで、よかった。
よかったよ……。
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