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先輩に連れてこられたのは、よりによって、2階の多目的教室。
ここって、つい1時間前に、先輩と水谷先生が……。
最低。
一応、あたし、元カノなのに。
こんなところに連れてくるなんて。
先輩が先に中に入り、あたしは入口の前で立ち止まる。
先輩と、……男の人と。
ふたりきりの空間に入るなんて……。
先輩との最後の日以来無かったことだから、足が怖気(おじけ)づいて、1歩踏み出すことをためらう。
「入れよ」
「っ――!」
腕を強引に引かれ、足がもつれそうになりながらも、多目的教室に入る。
「せんぱ――……っ!」
先輩の体がすぐ正面にあって、飛び上がりそうなほど驚いた。
どんどん、どんどん、距離を詰めてきて、先ほど入ってきたばかりのドアに追い詰められる。
「やっ……!」
何かされるかと身構えて、目をギュッと瞑ったら、ガチャンッとただ鍵をかけただけだった。
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