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離れてほしい、早く。
脈のリズムが乱れる。
息をするのが難しくなる。
「先輩は、その髪……似合わない」
思ってもいない憎まれ口を叩く。
金髪なんて、あたしの知ってる岡安先輩じゃない……。
あたしはずっと下を向いていたけど、ツンっと髪の毛を上に引かれた感覚に、驚いて見上げる。
付き合っているときは、見上げても首が痛くなることはなかったのに。
やっぱり、違う。
あたしの知ってる先輩は、こんなに大人っぽくなかった。
鮮やかに染まった金色が、眩しいくらい。
平気で隣にいた日々が、嘘みたい。
嫌味なくらいに整った顔立ち。
一番気にしてしまうのは、唇。
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