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「ふーん……」
と、先輩は離してくれるどころか、もっと顔を近付けて、あたしをじろじろと見始めた。
「ちょっ、せ、せん……っ」
近い、近い、近い!
付き合ってるときだって、こんなに顔を近付けたことなんかない。
一度もキスをしないで、別れたから。
「はなしてください……っ!」
手を前に押し出して、先輩の胸を強く押すけれど、びくともしない。
力強すぎ。
あと、胸硬すぎ。
「手、震えてる」
そんなこと、しみじみと指摘されなくても、自分が一番分かってる。
「し、知ってます……」
さっきから、あたしの反応を楽しんでバカにしてるのかもしれないって思ったら、視界がどんどんにじんできた。
涙目になってるとか知られたら、ますますバカにされる。
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