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先輩は、ぱちくりと目を瞬かせ、フッと笑顔を見せた。
含み笑い……。
「確かに、バレたら困るなぁ」
そして、
「じゃあ……、脅してみる?」
「――」
今度は、あたしが目を瞬かせる番。
脅してみる?って、誰が?誰を?
あたしが、先輩を?
先輩の顔がブレるくらいに近くなって、あたしはあごを引く。
「やっ!?や……っ」
額に口付けをされた。
心臓が、ドキドキと怯えている。
「お前、マジで苦手なんだな……」
だから、そうだって言ってるのに。
額に吐息が当たって、そのささやかな風にすら反応する。
……どっちが、脅されてるって?
「リハビリ……しよっか」
「え……?――っ!」
見上げて、あまりの近距離に、また目を伏せる。
なのに、あごをつかまれ、無理矢理上を向かせられる。
「こっち見ろよ」
胸が騒ぐのは、……怖いから。
別の理由なんて、ありえない。
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