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あたしは手を背中に隠し、手の平に爪が食い込みそうなほどに、こぶしを握り締める。
今はちょっと痛いけど……。
もう、先輩相手に傷ついたりしない。
こんな人、好きじゃないから。
――入学して1年。
会わないようにって、気を付けていたのに、最悪の形で再会してしまった。
元カレは、記憶の中の彼よりも、ずっと最低な人になっていました。
「今日からよろしく」
先輩は、「触らない」と言った約束をあっさり破り、あたしの頭をつかむように撫でた。
「……さわんないでください」
先輩の手を叩き、睨む。
「はいはい」
先輩は、弱い立場だとは思えないような、余裕たっぷりの笑顔を見せる。
嫌いです。
大嫌い。
だからもう、恋なんてはじまらない。
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