「可愛いこと言うから」

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あれから、1週間。 「えりちゃん、危ないっ」 「ん?――わぁ!」 授業は、4時間目。体育。 あたしたちのクラスは、1組と合同で行うことになっている。 本日の授業内容は、男子と女子にわかれて、ソフトボール。 順番が回ってきたえりちゃんが、バットを持ってバッターボックスに行こうとした時、突然ボールが飛び込んできた。 女子のピッチャーが投げたわけじゃなくて……、 「ごめーん!えーと……、松本!」 暴投した張本人らしき男子が、走ってくる。 こないだも、あたしとえりちゃんの名前を間違えた、久我くん。 「ダウンタウンか!あたしはツッコミの方の名前だからー!」 と、本当につっこみながら、えりちゃんが久我くんにボールを投げる。 「ありがとー!」 久我くんは、ミットで器用にボールを受け取り、走っていく。 「久我ー!お前、えりに怪我さしたら、ただじゃおかねーぞ!」 遠くからは、椎久くんの怒声。 「りょーすけうるさいぞーっ」 と、えりちゃんは、その一言限りで椎久くんに興味を示さなくなった。 周りの皆が笑って、あたしも笑う。 こういう、自分が関わっていないことでなら、男子を見ても結構平気なんだけどな……。
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