0人が本棚に入れています
本棚に追加
キルリやユーロもまだ、こっそり
吸っていると聞いた。
俺達の精神はいまだ不安定…だ。
こんなに平和なのに。
こんなに幸せなのに。
外に出て吸えば、苦笑しながら煙
管をくわえ、座っていたキルリが
先客でいた。
近づけばキルリはポツリポツリと
蚊の鳴くような声で話し出した。
「颯人と…いい雰囲気って言うん
ですかね?になりまして…
けど、私は……
我慢して、颯人が寝たのを見計ら
って…
悔しい…です。
好きな人とのまで拒んでしまう自
分が……私はあんなの望んでなか
った。アレさえなければ…」
語りが嗚咽に変わった。
けど、解らない訳がない。
事実、ネリネにあんなこと言う俺
だけど…内心は恐怖一色で、泣き
たいくらいだ。好きな人さえ拒ん
でしまう自分に。
わかっているのに…心と体はバラ
バラで――。
「嫌じゃないよな…」
「嫌じゃないですよ…颯人ですか
ら。でも、体は拒否してしまう…
勝手に震えてしまう…」
バラバラな俺達。
どうしたら良いのだろう。
ひたすら恐怖な過去で壊れた俺達
。
変わった俺達。変わらない過去。
「なぁ…氷山さんよー
久しぶりに昔みたいに話さないか
?」
最初のコメントを投稿しよう!