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第五学生寮。
その突き当たりに、梅雨 六月は
住んでいる。立地が悪く、通うに
も都合の悪い寮ではあるが、寝汗
が酷い六月にとって、夜中にシャ
ワーを気にせず浴びれるのは有り
難かった。
「また、見ちまった…」
あれは誰の過去だろうとぼんやり
考える。
むさぼり喰われる…何かがハイエ
ナやハエの如くたかってきて…
「負の感情を喰らうって良いこと
ないな…」
だからと言って他の感情を食べれ
ば消化不良を起こしてしまう。
「あー、人肌で寝たい…」
たまらず叶わぬ欲を言うものの、
残ったのはシャワーの音だけにな
ってしまった。
叶わぬ欲…原因なんてわかってい
た。表が結婚した。
わかっている未来で、既に知らさ
れてる未来で、けど、結婚した。
それが酷く残酷だとしても、羨ま
しかった。少なくとも…見てくれ
る存在がいる事実に。
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