日常

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「俺……行ったとしても武器がないじゃん」 はぁ……と溜め息をつき、どうしようかとずっと考えてる内に父親がいる鉄工所に着いた。 「……じーちゃんに相談してみようかな……」 鉄工所に入りながらそんなこと考えると父親は機械を使って何かを作っているようだ。他の男社員は金型鋳造で車のエンジンの一部の製造している。 ただ祖父だけが仕事をしている姿が見当たらなかった。 「あれ?じーちゃん、何処だろう……」 父親か社員の誰かに聞きたいが全員が作業に集中していて聞きづらい状況だ。龍は仕方なく鉄工所内を歩いて祖父を探し始めた。鉄工所の事務室や休憩室も行って探してみるが人影さえなかった。 「う~ん、やっぱりいないなぁ……となると例の場所かな」 例の場所とは龍が祖父が鉄工所の社員や父親に秘密にしている部屋がある。元々先祖が鍛冶だったらしいのでそこには武器を作るのに適した道具や窯などが全て揃ってる。 「思い付く場所がそこしかないからな……行ってみるか」 龍は敷地の一角にある物置小屋目指し、早足で向かう。入ると掃除道具が詰め込まれてあるがその床下に扉があり、開けると部屋へ続く通路が繋がっている。 その道なりに進んでいくと灯籠が少しながらも辺りを照らし、方向がわかるようにしている。しかし龍は違和感を感じていた。 (てか今日は父さんが言ってた重要な仕事じゃなかったっけ?じーちゃんは関係ないのか?) などと考えてる内に部屋の扉の前に着いてしまった。 「まぁその事は後々聞いたらいいや。じーちゃん、入るよ」 返事がなかったが扉を良く見ると少し開いていた。扉を開けてると祖父は龍の声に気づかず、何かをしているようだ。龍は祖父の背後から覗き込む。 部屋自体がちょっと薄暗いので良くわからなかったが祖父は槍状の刃を丹念に研いでいる。 「じーちゃん、それは何?」 「ん?……おぉ龍か。これはな、三國時代の龍の呂布が使用していた武器……方天画戟を改良したやつを制作したやつじゃ」 「方天……画戟か」 改めて見ると長さが龍の身長の四分の三くらいの長さがあり、さらに四分の二ぐらいの刃があった。 「ってじーちゃん……それって犯罪じゃね?」 「隠しとけば問題ない。それに……」
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