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どこからか軽い風が肌を撫でるように吹いている。その風に起こされるように龍は目を覚ます。
「ん……あれ?」
龍は身体を起こして立ち上がり、ゆっくりと辺りを見回した。そこには果てしなく広がる荒野と青空。所々荒野に石ころや雑草等があるがそれ以外は町どころか建物1つさえ何もない。
「俺……トラックに轢かれたと思って……で、この場所ということは―――」
龍の頭の中ではすでに答えらしいのが出てきていた。
そう。ここは外史の世界なのだ。だがそれを確証するものがない。それとともに時代もわからないときた。
「う~ん……この荒野からするなら……あかん、どの時代でもあるわ」
通りにすれば何百万とあるだろう。しかも時代がわかってもその場所が特定出来るわけでもない。
ふと自分の周りを見ると祖父からもらった神戟や防具、鞄がある。調べると神戟や防具には一切ヒビとか入っておらず鞄の中身も無事なようだ。
「よかった、全部無事やな。……でも―――」
龍は防具(手甲と足甲しかないが)を装備しながらもう一回辺りを見回す。どうみてもやはり広がる荒野しかない。太陽は今は真上に昇っていて方角もわからない。
「こっからどうすればいいんだろ……ん?」
遠くから小さな砂塵が立ち上がってこちらへ向かってくる。煙の上がり方を良く見ると細く上がっているので多くの人がいることはないと気づく。
「誰だろ?少し話を聞けたらいいんだけど……」
少し待っていると黄色の頭巾を着けた三人組が武器を持って龍に迫る。
「おい、金目のものをよこせ!」
「金目のもの?いやなこった。あげることはしないんで」
「そうか、じゃあ殺してやる!」
三人組の一人が龍に言い終わると同時に襲いかかる。
「うわっ!あぶねぇ……」
龍は間一髪避け、神戟の風呂敷包みを外して戦闘体勢で構える。
「やるしかない……か。ちょうどいいや、神戟を試しに使わしてもらうぜ!」
神戟は太陽の光を浴びて龍の言葉に応えるようにキラキラと輝き、龍は神戟をブンブンと片手で振り回す。ちなみに神戟の重さは約十キロ。
「げっ!コイツ武器を持ってたか!」
「うろたえるな、一斉にかかれば殺せる!」
「一斉って……まぁいいんだけど」
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