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住宅街より少し離れた場所に一軒家が建っている。
その家はどこにでもあるような二階建てで二階に龍の部屋がある。
その部屋の窓のカーテンから朝日が溢れる。
「ん……ん~…?……朝か~…」
龍はゆっくり起き上がり布団の上で背伸びする。頭を掻きながら部屋から出て階段を下りるとばったり歯磨きしながら歩く父親と出くわす。
「父さん、おはよう」
「おう、おはよう」
二人は洗面所に向かい、龍は歯磨きを、父親は顔を洗う。
「今から仕事?」
「ああ、大手からの依頼があってな。久々の結構でかい仕事だからな、粗相しないようにしないと」
「じーちゃんも?」
「ああ。じゃ行ってくる」
そう言って父親はいつも仕事で着ている作業着を身に付けて出掛けた。
龍は父親に「いってらっしゃい」と言い、歯磨きを終わらせると部屋に戻り、学生服に着替えリビングへ向かった。リビングにはテーブルの上に置かれた料理と母親がいた。
「母さん、おはよう」
「おはよう、龍。今日も夜遅いの?」
「うーん……遅くなるかな。なにかとすることが多いし……」
龍はイスに腰を掛け、ご飯を食べる。今日は焼き鮭にだし巻き玉子、ご飯に味噌汁だ。
それを勢い良く食べ進んでいく。
「てか最近、父さんもじーちゃんも家にいる時間少なくなったよな。父さんから理由は聞いてるけど」
「まぁいいじゃないの。それだけ仕事に没頭出来るんだから」
「そうだね……っと、時間だ!行ってくる!」
龍は慌てて鞄を持ち、玄関で靴を履いていると母親も慌てて風呂敷包みにされたお弁当を持ってきてくれた。
「これ!お弁当忘れてるよ!」
「ホントだ。わりぃ、いってきまーす!」
「いってらっしゃい」
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