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「話を整理するぞ。この世界って『今現在にいる場所』だな?」
じーさんはしっかりと縦に首を振って頷き、答える。
「そうじゃ」
「外史ってのは?」
「そうじゃな……例えば信長が本能寺の変で死去という正しい歴史が正史と思え。信長が死去していない、もしくは別の場所で死去してる歴史ならば外史じゃ」
「……で俺は外史でどうしろと?」
「簡単なことじゃ、『お前さんの好きな様にしろ』」
「え?」
龍は頭に雷が落ちたような衝撃を受けた。そして身体が石になったかのようにしばらく動けなくなってしまう。
少し経つとその衝撃が無くなかったが、龍はジリジリと追い詰めるように身体を寄せる。
「向こうに行ったら好きな様に出来るのか?!」
「たぶんじゃがな」
「えー、たぶんかよ」
「向こうに制限かけられない程度にしたらいいんじゃ。それと注意をすることがある」
じーさんはまた真剣な顔で龍を見つめ話し出す。
「いくら外史だからって、お前さんの行動次第で『未来は変わってしまう可能性』があるから気をつけるんじゃ」
「はい?なんで?」
「正史も外史も世界が違えど未来は一緒なんじゃ。1つの出来事が変わると未来も変わるってことじゃ」
「う~ん……」
龍はそのことを考えてるとあることを気づき、じーさんに問いただす。
「外史の世界って過去の世界?」
「うむ。ただどんな世界かは言わんぞ」
「なんで?」
「言ったらつまらんからの」
「……あっそ」
龍は考える。
過去の世界となると、どの時代でも戦い……つまり戦があるということ。
戦は人と人の戦い。今の戦いというのは戦争以外生命を無くすことはない。過去の世界へ行けば少なくとも血は流れるだろう。
「俺はいつ飛ばされるんだ?」
「それはわからん。じゃが準備は今日の内にしとくんじゃな」
「……わかった。サンキューな、じーさん」
龍は神妙な顔つきで席を立ち、父親の鉄工所に向かって歩き出す。
「過去の外史の世界へ飛ばされる……か」
龍は自分でその言葉を発した瞬間、何故か顔のニヤつきが止まらずついには笑ってしまう。
「どんな世界だろうな~……どうせなら三國時代とか戦国時代に行きたいな~……」
そんな独り言を呟いていると重大なあることに気がつき、足が止まる。
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