プロローグ

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小鳥のさえずりと窓から差し込む暖かな春の日差しを浴びて 目を覚ました。  ゆっくりと開いた目の瞳はきらきらとかがやいている。 うるさい目覚ましや、親の怒鳴り声で目を覚ますのは気が滅入る。 といっても自分には両親がいない。 生まれたときからおじいさんに育てられた。 もしかすると、赤ちゃんだった頃にはいたのかもしれないが、少なくとも 自分の記憶にはこれっぽっちも残ってはいない。 気になって小さい頃におじい(私はこう呼んでいる)に聞いてみたことがある。 「お父さんとお母さんはどこにいるの?」と。 そう聞くと、おじいは決まってこういった。 「綺麗な星に戻れたんじゃよ。」 何度きいても同じ答えだった。おそらく死んだということだろうとは思うが、 今でも意味はわからない。 少し大きくなった私はふれないほうがいい事なのかと思い、 聞かないようになった。それ以来一度も両親については聞いていない。 だから、両親については「おそらく死んだ」ということしかわかっていない。
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