突然の出会い

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突然の出来事だった。 なんの前ぶれもなく、あいつは現れた。 いや、私が会いにいったというほうが正しいだろうか。 ・・・何かに吸い寄せられるように。                                             ******** 4月。 この響きを聞くともう春だという気がするけれど、 まだ肌寒い。 このところ3日間ぐらい暖かい日が続いているので 春はもう、すぐそこだろう。 今日も暖かくなりそうだと朝8時のニュースでお天気お姉さんが言っていたので 久しぶりにお気に入りのワンピースをクローゼットの中からひっぱりだした。 白地に水色で星の模様がちりばめられている。 薄い水色の星だから派手に見えないさりげない感じがとても気にいっている。 もうひとつ、ウエストを締めるように青いリボンが結ばれているところも お気に入りポイントだ。 丈は長めでいわゆるマキシ丈?というやつだろうか。 袖はなく、夏にはこのワンピース一枚に麦わら帽子をかぶってでかけるが、 今日はしろいカーディガンを羽織って出かけることにした。   柔らかな木漏れ日の下を歩く。  近くに立派なサクラ並木があるのだ。 まだ、蕾しかついていないけれど、 今年もまたきれいなピンク色に染まるだろう。 どこに行こうか決めていたわけでもなく、 こうして、ふらっと散歩するのが楽しみなのだ。 春の匂いがする風をうけて肩までのびた髪がなびく。 ふふ~ん♪と鼻歌をうたいながら歩いていると、ふと足をとめたくなった。 今でもなぜあの場所でとまりたくなったのかはわからない。 1、2と足をとめ、ゆっくり左をみるとそこには見たこともない道があった。 生まれたときからずっと住んでいるこの街に知らない場所があったのかと 驚きながら、そのゆるく右にカーブした道を眺める。 綺麗な緑に輝く草が芝生のようにはえている。 大人が1人通れるほどの幅だ。 家と家の間になぜこんなに綺麗な道ができているのかわからない。 この先になにがあるのか、どんな景色がひろがっているのか。 私は吸い込まれるように緑のじゅうたんへと足を踏み出していた。
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