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「あっ先輩ですか?菅原です。」
「あぁ、うん。どうした?」
「実は、例の書類のデータをなくしてしまいまして、」
「してしまいまして?」
「あっいえ、してしまいました。」
「菅原、想像力だよ。想像力。お前はそれでどうしたんだよ。」
「あっはい。先方に報告して、そして先輩に電話を、」
「馬鹿。先方に伝えたる前に上司にだなー、あっ俺か。まあ、わかった。明日には、会社に行くから、」
「先輩、休みは明後日までぢゃ、」
「まぁ、予定なんて崩れるもんだよ。ようは想像力だよ。菅原、」
「想像力ですか。」
「そう、想像力。お前はこの後どう動く?」
「書類のデータを探します。」
「それは、しなくていい。お前は先方に見つかりましたと報告しろ。」
「そんなっ。どういう事ですか?」
「いや、規則違反ではあるんだがな。バックアップをとってある。今、実家にいるんだが、仙台の自宅にある。」
「なるほど、先輩は自分がなくすのを想像していたと。」
「ははっ。違うさ。なくすってのもあるけど。あれは大事な取引だろ?会社内にも敵はいるんだ。」
「あぁ、篠崎さん達ですか。」
「まぁ、そんなところかもしれないし、そうでないかもしれない。」
「想像力ですか。」
「想像力ですよ。まぁ、明日だ。」
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