1人が本棚に入れています
本棚に追加
「佐原、ちょっと」
「何ですか、店長」
ディナーの来客が収束に向かったころ、店長は手招きをして僕を呼んだ。
「実は、お前に休みをやろうと思うんだが」
「休みですか?いつですか?」
「明日とあさっての連休だ。どうだ、太っ腹だろ?」
「明日とあさって?土日に休みなんてとれませんよ」
僕は先週の週末の地獄を思い返していた。週末の忙しさは平日の比ではなかった。猫の手も借りたいような忙しさなのだ。それを僕は身をもって体験した。
まだお世辞にも戦力として機能しているとはいえない僕とはいえ、僕ひとりだけ休んでもいいのだろうか。
「気を張るのもいいが、このままだとお前が潰れてしまう。今日寝坊したのも、今までの疲れが溜まっていたんだろう。来月にはゴールデンウィークも控えているんだ。今潰れられたら俺も店も困る」
「でも、店は…」
「店は残った人間で何とかしておくから気にせず休んでくれ」
店長は僕の肩を軽く叩くとキッチンに戻っていった。
最初のコメントを投稿しよう!