明日香

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「佐原、ちょっと」 「何ですか、店長」 ディナーの来客が収束に向かったころ、店長は手招きをして僕を呼んだ。 「実は、お前に休みをやろうと思うんだが」 「休みですか?いつですか?」 「明日とあさっての連休だ。どうだ、太っ腹だろ?」 「明日とあさって?土日に休みなんてとれませんよ」 僕は先週の週末の地獄を思い返していた。週末の忙しさは平日の比ではなかった。猫の手も借りたいような忙しさなのだ。それを僕は身をもって体験した。 まだお世辞にも戦力として機能しているとはいえない僕とはいえ、僕ひとりだけ休んでもいいのだろうか。 「気を張るのもいいが、このままだとお前が潰れてしまう。今日寝坊したのも、今までの疲れが溜まっていたんだろう。来月にはゴールデンウィークも控えているんだ。今潰れられたら俺も店も困る」 「でも、店は…」 「店は残った人間で何とかしておくから気にせず休んでくれ」 店長は僕の肩を軽く叩くとキッチンに戻っていった。
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