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想いは瞬く間に崩壊する。
東京はサラダボウルをひっくり返したかのように、様々な人間がいた。
人生の成功者も落伍者も。
その全ての人間が振り落とされまいと、日々誰かを、あらゆる手を使って蹴落としながら自分のポジションを懸命にキープしているようにも思えた。
『人間は皆平等』だ、なんて綺麗ごとすぎる。
東京に限らず、この世にユートビアは存在しない。差別や偏見はどこにだって存在する。
特に僕の場合は、新潟出身ということだけで、田舎者扱いを受けたりもした。僕は東京を夢の国だと思っていたことがばからしく思えた。
四月一日に入社して、一週間ほどが過ぎた。本当に最初の最初は、いくら正社員とはいえ、アルバイトと同じような扱いだ。
しかも、短期間でスキルアップが見こめないと、淘汰されてしまう。僕は振り落とされまいと、必死に働いていた。
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