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4つの路線が乗り入れるターミナル駅を出た電車はレール変更をしながら徐々にスピードを上げはじめる。
初めて乗る路線、見知らぬ街だというのに都会というのはどこも同じ雰囲気だ。
ビル、大型の広告看板、そしてまたビル。
隙間なく流れる車に、信号待ちする人。
扉から名前も知らない場所を僕は眺めていた。
視界を塞いだのは駅からでたもう一つの電車。
同じように路線変更をしながらスピードをあげていく。
同じ速度で進む二つの電車は距離を詰めていく。
ついに隣同士になった。
ガタゴトと二つの電車の風圧で音がなる。
僕の電車の中からは向こうの満員電車の中が見える。
通勤の中肉中背のオヤジ。
むさくるしいその中を見る気にならず、斜め前を見ていた視線を横に向けた。
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