1人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
7.笑って?
いつもすごく怖い顔をしている奏。
理由が理由なだけに何も言えない。
でも、なかなか整った顔をしているのに、眉間にいつも皺を寄せているのはもったいない気がする。
「ねぇ、奏。」
「何?」
忙しそうにキーボードを叩く奏は不機嫌な声で返す。
「休めば?」
「無理。今日中に終わらせなきゃダメだから。」
冷たい言葉とともに時計を見ると、後一時間で今日が終わる時間。
「明日にすれば?」
「ダメ。」
それ以降意識をキーボードに向けた奏に話しかけるのを諦めて、コーヒーを入れにいく。
世間では甘いムードが漂うクリスマス。
なのに、恋人には仕事ばかりで相手をしてくれない。
これはイジケル他ないと思い、部屋の隅で丸くなる。そのまま音楽を聞いているうちに一時間など過ぎ去ってしまっていた。
「優…………」
仕事を終えた奏が寄って来る。
「HappyBirthday。」
続けられた言葉にイジケルのを止めて飛び起きる。
少し照れた顔をした奏が側にいた。
「奏…「仕事、終わらせたから………一日中一緒にいれるよ。」
このために奏は一生懸命仕事をこなしていたのだ。
「プレゼント………用意出来なかったけど、何が欲しい?」
最初のコメントを投稿しよう!