1人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
8.2歩と半分
私の先を行く背中。
私と貴方の距離。
2歩と半分だけの距離。
並んで歩きたくないわけじゃない。
ただ、なんとなく後ろがいいだけ。
「隣に来ないのか?」
唐突な、けれど数回目の質問に軽く横に首を振ると貴方は何も言わずに前を歩く。
ただ、覚えていたいだけ。
遠くに行ってしまう貴方の背中がこんなにも広いことを。
こんなにも優しいことを。
こんなにも愛しいことを。
溢れだしてきそうな涙を誤魔化すために、少しだけ歩幅を広げてあっという間に、2歩と半分の間を無くす。
腕にすがりついた私を何も言わずに優しく頭を撫でてくれる。
そんな貴方が大好きです。
最初のコメントを投稿しよう!