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9.分かち合いたいんだ、君と。
「よっ、元気にしてたか?」
白い部屋にある白いベッドの上に座っている白い服を着た紫苑に声をかけると、ぼーっと外を見ていた瞳が輝き、笑顔で頷かれる。
「うん。久しぶりだね、仁さんがここにくるの。」
「あぁ、だな。」
ベッドの側の椅子に座り来れなかった間のことを話して聞かせると、紫苑は笑った。
儚げですぐに消えてしまいそうな笑顔。
だけども、とても綺麗。
ふいに、しゃべるのをやめた仁に紫苑は首を傾げる。
「仁さん………?」
不安げな声に、何かを決意した仁は紫苑の左手を掴むと、その薬指に輝く指輪をはめた。
「こ、これって!?」
慌てふためく紫苑に、なるべく柔らかな表情をつくると言った。
「これからある幸せや喜びを、分かち合いたいんだ、紫苑と。だから………結婚してくれ。」
涙をポロポロ流しながら何度も頷く紫苑を抱きしめると、幸せにすると神に誓った。
例え、その時間が限りなく短くても………
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