空目恭一5題…版権Missing

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1.夜を纏う   「魔王様って、なんだか『夜』を纏ってるようだよね。」 文芸部の部室でいきなり稜子が言い放った。 珍しくいない空目を待ちながら、いつものメンバーは各々好きな場所に座り、読書をしていた。 その静かな雰囲気をぶち破った先ほどの稜子の言葉。「あんた、何が言いたいの?」 呆れた口調で亜紀が言った。俊也もどこか苦笑している。 だが、武巳の反応だけは違った。 「俺もそうおもう‼」 そう言って二人は話しだした。 そんな二人に呆れながら、俊哉はさっさと読書に戻る。 亜紀もまた本に集中しようとした。 だが、次の稜子の言葉で出来なくなってしまった。 「魔王様って、『夜』みたいだよね。なんか、静かな『夜』みたい。」 武巳が大きく頷く。 「そうそう。物静かでクールだもんな。」   (違う………)   亜紀はそう心の中で呟いた。 空目は、確かに物静かではあるしクールでもある。 だが、亜紀は『夜』とは結びつけることができなかった。   (『夜』は、優しくはない。)   そう思ったが、亜紀の記憶が正しければ空目が優しかった時は、亜紀と二人きりの時が多かった気がする。例外として、あやめが側にいる時もあったが。
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