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「ねぇ、あやめちゃんもそう思わない?」
突然そう聞かれた少女は顔を真っ赤にして首を横にふった。
「なんでだ?」
そんなあやめに、今まで黙っていた俊也が尋ねるために口を開いた。
あやめは更に顔を紅くしながらしどろもどろ懸命に答えた。
「あ、あの………空目さんは………その………」
そしてなぜかちらっと亜紀の方を見る。
「亜紀さんと一緒にいる時は凄く優しいと………思います………」
語尾がだんだんと自信無さげに消えていったが十分言いたいことは伝わり、騒ぎだした部室の中でただ一人、亜紀だけが本を黙々と読んでいた。
だが、髪から見える耳があやめ以上に真っ赤に染まっていたのを稜子は見逃さなかった。
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