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2.サタンの戯言
「村神、なぜ女は形を欲しがるのだ?」
いきなりの言葉にのんでいたお茶を吹き出しそうになり堪える。
「ケホケホ………」
蒸せた俺を無視して空目は話を続ける。
「愛しているのなら、言葉も形もいらないはずなんだがな。お互いの気持ちが同じなのだからな。」
はっきり言って恋愛は興味なかったはずの空目が「愛」などと口にしてしまった。
明日は大雨かな?と空を見ながら思う。
せっかく見に行く約束をした桜が散ってしまう。
「だが、女は不安なのだろうか?それとも寂しいのか?はたまた甘えたいのだろうか?」
どこか芝居がかったセリフにだんだん嫌な予感がしてくる。だが、空目を止める術を俺は知らない。
「きっと全部だろう。不安だからこそ寂しくなり、甘えたくなる。だからこそ、求めるのだな。」
勝手に納得する結論をだした空目。
「よし、今から形にしてこよう。」
呼び出しておいてそれは無いだろうと思ったが、空目は俺が止める前に電話をかけている。
相手は最近できた(信じたくないが)恋人・木戸野だろう。
「今から行く。理由?そんなの決まっているだろう。」
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