木戸野亜紀5題…版権Missing

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2.獣は飼い慣らされる 昔は獣みたいだった私が、今では丸くなったとよく他人(特に稜子)に言われる。自分に自覚があるから気のせいではない。 悔しいが、全部付き合いだしたアイツのせいだ。 アイツが私に与えてくれる、確かな嘘ではないたくさんの愛情が、私を変えたんだ。と、思う……… 恥ずかしくもなくクサイ台詞をささやかれる度に、コイツは天然なのかタラシなのかで冷静に悩む自分がいるが、素直に喜んでいる自分もいる。 人前で抱きしめられるのにももう慣れた。 恥ずかしくて抵抗するだけ無駄だ。と悟ったからだ。 それに、アイツに抱きしめられると凄く落ち着くのを知った。 だから、今は大人しく抱きしめられている。 私は、獣じゃなくなった。 そんなことを、抱きしめられたまま考えていて、つい笑ってしまったら不思議そうに首を傾げてくる。 「なんでもない。」 そう答えて温もりに顔を埋めてこの幸せを満喫することにした。
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